うつ病患者さんの中には、お酒を嗜む人が多くいます。
そして、同時に、うつ病とアルコール依存症を患っている例も多くあり、それが負のループを作り出すということが、問題視されています。
うつ病とアルコール依存症は切っても切り離せないほど、深い関係にあるのです。
また、アルコール依存症ですが、長期的にアルコールを飲み続ける人の中で、ウェルニッケコルサコフ症候群という脳に異常が起きる病気になるケースがあるようです。
このウェルニッケコルサコフ症候群になると、今いる場所が分からなくなったり、まっすぐ立てなくなったり、眼球の動きが鈍くなったり、日常生活すらままならないような状態になります。
このような状態になると、うつ病治療も思うようにできなくなるので、できれば未然に防ぎたいものです。
知識を身につけるだけでも、できることは増えていきますので、病気に対する理解を深めておきましょう。
ウェルニッケコルサコフ症候群の原因と治療法について
ウェルニッケコルサコフ症候群は、急性のものをウェルニッケ脳症、慢性のものをコルサコフ症候群といいます。
どちらの場合でも原因はビタミンB1の欠乏にあり、治療方法は不足しているビタミンB1を補給することになります。
ただ、ウェルニッケ脳症の方は、改善することが多いのですが、コルサコフ症候群になると改善しないことが多いです。
コルサコフ症候群の場合は、ビタミンB1を補給するだけではなく、断酒や食事療法。栄養補給やリハビリなども必要になります。
根本的な生活習慣というものも正す必要があるのです。
そうなると、かなり努力が必要になってきます。
また、ウェルニッケコルサコフ症候群になる代表的なパターンとして、以下の4つのようなことがあります。
・食事も摂らずにアルコールを飲み続けることで、栄養失調になる。この場合は、ビタミンB1だけではなく、様々な栄養が不足し、様々な体調不良を患っている可能性があります。
・下痢を起こし、ビタミンB1の吸収不良になる。この場合、アルコールを飲み続けることで腸にダメージがいき、下痢をしやすい状態になっている可能性があります。
・アルコールがビタミンB1の活性化を抑制している本来ビタミンB1は糖の代謝を促すものなのですが、アルコールの分解が追い付かなくなってくると、補完としての代謝が起こり、ビタミンB1が消費されます。
その結果、ビタミンB1の役割であるエネルギー生産などが行えなくなり、必要な糖が脳に届かなくなるのです。
・アルコールの分解にビタミンB1が消費される
これらの代表的なパターンを知っておくだけで、自分で対策をしやすいと思います。
サインをしっかり把握しておきましょう。
ウェルニッケコルサコフ症候群の予防について
ウェルニッケコルサコフ症候群の予防と言っても、極めて偏った食生活や栄養不足でない限り、そうそうなることはありません。
もうずっと、朝から夜まで1日中飲んでいるとか、食事を一切していないとかでない限り、滅多にないです。
ただ、そういう極端な生活というのは、徐々になっていくものなので、本人としては、偏った生活習慣になっているという自覚がない場合もあるかもしれません。
私自身も一時期、朝4時に寝て、昼の12時過ぎに起きるという昼夜逆転の生活を送った時、体調を崩すまで、生活習慣がものすごく乱れているということを自覚していなかったので。
もう1時間くらい起きてても大丈夫だろうという安易な考えを繰り返すうちに、朝方まで眠らないスタイルが出来上がっていたように、極端に偏ったアルコール事情というのも、本人からしてみたら、ちょっとずつ出来上がったものかもしれません。
「あと、もう1本だけ飲もう。」
「休日なんだし、朝からお酒を飲んでもいいよね?と手がのびる。」
「水を飲めば、いくら飲んでも大丈夫!」
様々な積み重ねが想像できますね。
お酒の魔力はすさまじいです。
さすがに1日中飲むことはないよと感じる人でも、可能性は全くゼロではありません。
何をきっかけになるかは、分からないものです。
だからこそ、こういった知識は、もっていて損はないです。
お酒を飲みすぎると、脳に異常が起きることがあるかもしれないということだけでも、知っておいた方がいいと思います。